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三津は色気もないのに何度か襲われかけた事を嘆いた。壬生に行ったばかりの時も,土方の女と間違われて攫われた時も最後の最後に襲われかけたと遠い目をした。
「男の人って結局女なら誰でもいいって事ですよね……。」
「三津,それはそいつらが男としてやなくて人として終わっとるけぇ話は別や。それに私は三津にしかそそられん。文ちゃんなんか全然そそられん。」
「入江さん私への無礼も大概にせんにゃ元気な癖に出番ないそれ使えんようにするけぇ。」
「文ちゃんそう言うとこやぞ。そそられんのそう言うとこやぞ。」 瘦面treatment
どす黒い笑みを浮かべた文を見て身の危険を感じた入江はさっと赤禰の背後に隠れつつ反論した。
「この賑やかさも後ちょっとかぁ……。」
三津は感慨深げに目の前の光景を眺めた。騒々しかった朝餉の後,入江は掃除している三津を捕まえた。
「ねぇ何で急にいい妻になろうとか思い直したん?」
「何で……んと昨日寝る前に私に求められる男になるからそれまで見捨てないでって言われて。あの人にそんな事言わせてもた自分を反省したと言うか……。
出石の件ぐらいで動揺した私には全然覚悟が足りんのやなって思ったし,文さんみたいな奥さんになれたらええなって思って。」
「それでか……。三津がその覚悟貫くなら私はそれを陰で支える役目に徹する。やけど文ちゃんは文ちゃん,三津は三津。それは忘れちゃいけんよ?」
「大丈夫です。文さんにも傷付く前に逃げりって言われたんで無理やと思ったら逃げます。」
三津は廊下を磨きながら笑っているが入江には不安しかない。逃げると言ってもギリギリまで我慢するに違いない。それじゃあ遅いんだ。
「もう見捨てて私に逃げてきたらええのに。」
不貞腐れたような言い方で吐き捨てた。
「それが出来たらいいんやろうけど。でも見捨てるって選択肢に上げられんくて……。だったら相応しいいい奥さんになれるように努力せんと。」
「そう……。でもまずは木戸さんを名前で呼べるようになることやな。」
入江はにっと笑って邪魔してごめんとその場を後にした。
『前途多難や……。』
入江は三津に背を向けてから溜息をついた。自分は何があっても傍で三津を支えると決めている。それには入江自身も傷付いて泣く三津を目の当たりにする事に耐性を持ってないといけない。
『私も感情的にならず慰められるやろか。』
「入江さん!三津さん何て?」
同じく三津を心配する文が入江に駆け寄った。
「昨日木戸さん三津に求められる男になるからそれまで見捨てんでって言ったんやって。」
「はぁ……。本当にあの人三津さんに嫌われるのだけは堪えられんのやね……。それで三津さんは自分が変わればええって思ったんや?」
三津が身を削ると健気通り越して痛々しいとさえ思える。文から深い溜息が漏れた。旦那が可愛がった可愛い妹だからどうにかしたいのにどうにもならないもどかしさがあった。
「そう言う事やろね。木戸さんなかなかこっちには来んやろうからなるべく私が三津から離れんようにはする。やけん文ちゃんは心配やろうけど帰る準備進めとき。」
入江は文の頭にぽんと手を置いてから立ち去った。
「……たまに年上らしい事しよるんやからあの変態。」
男に頭を触られたのは何年ぶりかねと笑みを溢した。それから文も話をするべく三津の元へ向かった。昼餉を食べながら文は三津に今まで桂と過ごした時間について詳しく聞こうとした。
出来れば女だけで気軽な恋の話として聞き出そうとしたのに高杉達が来てしまった。
「俺も聞きたい,半年ほど周り欺いて過ごしちょったんやろ?よう隠し通せたな三津さん嘘つけんそに。」
「だってほとんど一緒に居ませんでしたから。私がたまに暇もらって甘味屋に帰った時に会えるかどうかで。
でも今思えばあの距離感が一番良かったのかもしれません。近くに居すぎるとより多くを求めてしまうんで好きやって気持ちが通じた事を純粋に喜んで幸せに浸ってる方が私には合ってたのかも。難しいですね。」