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席を外してくれないかと言われて三津

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席を外してくれないかと言われて三津

席を外してくれないかと言われて三津は素直に頷いた。

 

 

「後で私とも話をして下さい。」

 

 

「そのつもりだ。部屋で待ってて。」

 

 

三津は分かりましたと頷いて部屋を出た。桂はもう一度入江と向き合って疑ってかかる表情を笑った。

 

 

「九一覚えてるか?いつかお前が私に言った,三津を共有すればいいと。」

 

 

入江はそんな事も言ったなぁと思い出しながら頷いた。瘦面treatment

 

 

「あの時は何て馬鹿げたことを言うんだと思ったが……まさか本当にそうなる日が来るとはね。」

 

 

「本気ですか?真に受けて私と三津が営んで,また三津に嫉妬の八つ当たりをするんじゃないんですか?」

 

 

「するかも知れないね。だが状況は刻一刻と変わる。人の心なら尚更。ずっと同じではいられないから約束もその都度変化させる必要がある。そう考えた結果,ここに至った。

おかしな話だが妻を共有する。でも考えてみろ。男は愛妾を何人も囲ったりする。それと変わらないと思えば少しは妥協出来る。」

 

 

納得ではない。あくまで妥協だ。本当なら独り占めしたいところだが,三津の気持ちを捕まえきれないが故の苦肉の策だ。

 

 

「前以上に理解されない関係になる。傍から見れば三津が浮気妻と思われるからね。三津の為にも,上手く隠してくれ。」

 

 

「本当にそれで後悔しませんか。」

 

 

「したらまた話し合おう。何があっても私達はもう一蓮托生だろう。

三津は私達から逃れられないと思ってるみたいだけど,実際は私達が三津から逃れられなくなってるんだよな。」

 

 

「確かに。それならしっくりくる。やっぱり三津は無意識な悪女だ。」

 

 

「君が悪女と言った事は黙っておくよ。じゃあ三津とも話して来る。」

 

 

桂は本当におかしな事になったなと困惑の笑みを浮かべつつ部屋を出た。

三津の元へ行くと正座で待ち構えていた。どうぞと膝を叩く仕草に表情は緩みっぱなしだ。

 

 

「率直に今の気持ちは?」

 

 

体を横たえて三津を見上げた。

 

 

「複雑です。小五郎さんを傷付けてるのは確かですから嬉しいって感情はないですね。」

 

 

「そうか。やっぱり一人がいい?」

 

 

「萩の暮らしが快適過ぎて。遠くから想ってる方が性に合ってるなと。」

 

 

「そうだね。私達はずっと離れながら互いを想っていたし,そっちの方が気持ちも新鮮だろうが……。私は三津の全てを把握してたい。見える所に居てもらわなければ困る。」

 

 

桂は離すもんかと三津のお腹に縋りついた。大きな子供だなぁと苦笑いでその背中に手を当てた。

 

 

「見えない方がいい事だってありますよ?」

 

 

桂は出石の事を言われ,小声でそうだねと答えた。「萩に居たら嫌なものを見なくて済みます。」

 

 

「私が浮気する前提だね。」

 

 

そんなに信用ないのかと声が暗くなった。三津はそうじゃなくてと優しい声で続けた。

 

 

「私は自由にさせてもらうんやから,小五郎さんも自由であるべきでしょう?」

 

 

桂は聞捨てならんなと体を起こして向かい合い,しっかりと両肩を掴んで目を合わせた。

 

 

「私は君を裏切り傷付けた事を償い続けるつもりだ。だから私は二度と過ちは犯さない。」

 

 

「高杉さんみたいに妾を。」

 

 

「要らない。あいつは親の勧めで結婚したんだろうが私は違う。本当に心から愛する人を妻に迎えた。だから三津がいればいい。

また京の時のような三津が戻って来るように誠心誠意尽くす。」

 

 

桂に見つめられながら,相変わらず目力の強い人だなと思ってその目を見ていた。

初めの頃はこの目を見られずにいたのに時の流れでこうなるのかとしみじみ思った。

 

 

「分かりました,今日はもう休んで下さい。」

 

 

「今日は私の妻として傍に居てくれる?」

 

 

「当たり前やないですか。これでも妻の自覚はありますよ?これからはあなたって呼びましょうか?」

 

 

「呼んでくれるのか!?」

 

 

桂は声を荒げ,目も見開いて鼻先が触れるぐらいに距離を詰めた。

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